伊東ぢゅん子のひとりごと

2020/10/05 | 夏の思い出

2020年夏。蝉の声が耳障りなある夜。
たまたま自宅に帰っていた娘とともに車で帰宅したときのこと。
伊東の自宅の目の前は結構な年代物のアパートがあるんだけど、珍しくそのアパートに20代半ばくらいの女性が入って行き、数十秒ですぐ出て来てどこかに行き、車を駐車場に入れている間にこれまたアパートの前に戻ってきて、なぜか2mほどしか離れていないこっちをじ〜っと見ている彼女。
ふと気になった伊東は「どうかしました?」と声をかけてみた。

夏の思い出

声をかけたとたん、すごい勢いで伊東の目の前まで駆け寄ってきて、彼女は曰く
「蝉がいるんです!蝉が玄関の前にいるので部屋に入れないんです(泣)〜」と。


数年前、吉祥寺の駅前で、また、地下鉄築地駅構内でひっくり返っていた蝉を助けた我ら母娘ゆえ、楽勝だと思ったアチキは娘に一言「人助けだ、行け!」。
すると、娘はブツブツと「私だって、決してラクなわけじゃないんですけどぉぉぉ」と小さい文句を言いながら、彼女のアパート玄関前まで行ったし。
娘が玄関前に着いた途端、逃げるように伊東の横に飛んできた彼女。
「今どきの女の子は蝉程度で部屋にも入れないんだなぁ」
「またぐだけじゃん、蝉の上を」
なんて思いつつ、怯える彼女に
「うちの娘はワイルドだから手づかみで蝉なんて全然大丈夫ですよ」
と優しく声をかけた。


すると片手に蝉を持った娘が戻ってきて
「こいつ、生きているからあっちに置いてくるわ」と一言。
そんな娘の様子を見た彼女がこれまたすごい勢いで何を思ったのか、鞄から財布を出して
「お礼を!!!せめてお礼を〜!」と叫んでるし(笑)。

夏の思い出

さすがに辞退させていただきましたよ、蝉一匹程度のことだし。
感謝しまくられながら、彼女と別れ、家に入った娘に
「一日一善!良いことしたね〜」と言ったら、ちびっとだけ不満そうに「私だって直で触りたくはないんですけど、、、蝉」と。
それでも文句を言いながら手づかみで蝉を移動させている我が娘を、「いい奴だなぁ」と思った伊東でございます。

2020年コロナ渦の中、小さな夏の思い出になりました。